聖光園細野診療所

アトピー性皮膚炎の治療ー赤味が強い場合、乾燥が強い場合


アトピー性皮膚炎に対する漢方の基本的考え方は、別のページに詳述します。

こちらでは、赤味が強いアトピー性皮膚炎の場合と、乾燥が酷く皮膚を引っ掻くと粉がパラパラと舞うような場合について述べます。

赤味が強いアトピー性皮膚炎

このような方に、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)をベース処方としてよく使います。この処方は熱を冷ます作用のある4つの生薬から構成される、単純な処方です。構成生薬が少ないと、一つ一つの生薬の作用が明確となり、「あっ、効いている」と体感されるまでの時間も早いでしょう。効果を比較的体感しやすい処方です。

もちろん、黄連解毒湯のみで治療を開始するわけではありません。そこに少しスパイスを加えることにより治療効果を高めます。

抗菌作用のある生薬を加えさらには顔の赤味を取る生薬を加えるなどして調合して行きます。また便秘のある方は下剤の成分を加えて、出来るだけ便を出すようにします。

乾燥が酷く皮膚を引っ掻くと粉がパラパラと舞うようなアトピー性皮膚炎

乾燥タイプのアトピーには一般的に温清飲(うんせいいん)と言う処方がよく用いられます。この温清飲は黄連解毒湯をベースに構成され、皮膚の乾燥が改善される様な生薬が加えられているのです。

皮膚の乾燥を改善するには、皮膚の血の巡りを改善しなければなりません。しかし、それは時として皮膚の赤味を増してしまうことにもなります。赤味が強い時に入浴して暖まり血行が良くなると、より赤味が悪化することでも分かるでしょう。この同じことが漢方治療でもおこることがあります。

ですから、赤くて乾燥が強いタイプの方に最初から温清飲を使うと一週間もしないうちにより悪化する場合があります。漢方治療を始めて、一時的とは言え悪化するのは気分が良いものではないでしょうし、不安感が増しストレスにもなるでしょう。

ですから、私はまずは治療の第一段階として黄連解毒湯と言う冷やす処方を基本として組み立てます。

月経周期との関係

効果のある場合には2~4週程度で体感されると思います。一ヶ月様子を見ても改善傾向にない場合には、生薬の追加や基本方針の変更が必要でしょう。

女性の場合には月経前(高温期後半)に悪化することが多いので、再診時が月経前等であれば見た感じでは、皮膚の状態が悪化していることがあります。ですから、効果判定は月経周期の同じ頃(初診が7日目であれば、次周期の7日目)に行うのが一番分かりやすいのではないかと思います。

初診が月経14日目、再診が2週間後の月経直前の場合、「少し悪くなっていませんか?」と思うことがあります。

ところが患者さま本人の感覚では、「月経前にはいつもブワァ~っと悪くなるのですが、今回はそれほど悪くなくこの程度で済んでいます。」とおっしゃる方が多いのです。

アトピー性皮膚炎の治療はご自身の感覚・体感がとても重要になってきます。簡単で結構ですので、手帳に記録をつけておかれるととても参考になると思います。

Takao Hosono, Tokyo