漢方処方について
漢方薬は何種類もの生薬より構成されています。夕食のメニューのように、体調に合わせて味付けや付け合わせを変更するのが、本来の使い方です。
漢方薬は夕食の献立に似ている
「魚を切ってそのまま食べた」
「魚を切って、塩・コショウ、バターを使って調理し、同時にキノコもソテーして、ソースをかけたものをプレートのメインに、横にパンと付け合わせの野菜、果物を乗せて食べた」
最初のケースは醤油やご飯、あとは何か小鉢くらい用意しなければ夕食にはちょっと寂しいでしょう。調理して必要な物を加えた方はそれだけで充分でしょう。二番目のケース、それだけで充分な夕食が漢方処方と考えて下さい。
もちろん、付け合わせも、ソースも、季節や体調により微妙に変えることが可能です。現状は、自由診療においてのみ、可能となります。保険の範囲を超えて、組み合わせを自由に処方できることは、当院の一番の特徴でもあります。暑いので少し塩を増やしてとか、寒いのでショウガでも付けておくか、など。また場合によっては同じ様な内容で好みにより魚から肉に変更することも簡単に出来ます。
この各人に合わせて細かく作っていけるのが漢方治療(自由診療)の特色と言えましょう。
葛根湯を例に、もう少し詳しく説明します。
葛根湯=桂枝湯(ケイシトウ)+葛根(カッコン)+麻黄(マオウ)
葛根湯は桂枝湯に葛根と麻黄を加えたものです。上に書いた料理の話にあてはめると、メインの魚のソテーが桂枝湯で、味をつけたソースが葛根、野菜や果物が麻黄という感じです。ここでは分かりやすくこの様に書いているのですが、実際には葛根湯と言うくらいですので、味をつけたソースがとても大事なのです。さらにこの桂枝湯は5個の生薬より構成されています。
桂枝湯=桂枝+芍薬+甘草+大棗+生姜
となると、葛根湯は
葛根湯=桂枝+芍薬+甘草+大棗+生姜+葛根+麻黄
という7つの生薬より成り立っているのです。
生薬の相互作用
それぞれの生薬にはそれぞれの作用が存在します。
葛根湯の主たる目標は、症状としては悪寒がして熱が出そう。熱が出てきた。関節が痛くなって来た。肩や首がこわばる。など、いわゆるの風邪の初期症状です。風邪で葛根湯を処方する時期は、「病邪」が体表付近にあると漢方では考えています。体表にある病邪は体の中に入れて大事になる前にそこから放出するに限ります。その放出作用を持つのが葛根湯です。
風邪が進行して、咳が出る。下痢して来た。高熱は出ないが夕方になると熱が出てくる。などの場合には他の処方が必要となります。
葛根湯を適切な時期に服用したことのある方は、「服用後に体が暖まり発汗して解熱した」などを経験されているのではないでしょうか。それが葛根湯の作用です。葛根・麻黄が肌を開くことにより発汗を促し病邪を放出すると言われています。
現代の化学的見地から考えると、良い説明だとは自分でも思いません。本当に病邪がそこにいて、汗などと一緒に放り出されるのか??などと疑問に思うのは当然でしょう。実際にはこれが漢方の考え方の一つで、風邪の初期に葛根湯を服用すれば多くの方々が深刻な風邪症状に進展せずに軽症で経過したり、あるいは本当の初期症状のみで風邪が治ってしまうというのも事実です。
当院の葛根湯
当院では葛根湯に半夏を加えて、葛根湯加半夏として用いています。半夏は胃の機能を整えます。風邪の時にムカムカしたりして食欲落ちることがありますが、その様な場合を想定したものです。この細かな配合(微妙に付け合わせを加えること)が出来るのが、保険外漢方の可能性でしょう。既製品の洋服もサイズが合えばお直しや、オーダーメードも必要有りません。漢方も既製品(保険適用)でも、自分にピタリと合えば問題はありません。ただ、漢方処方の場合は洋服よりも合う範囲は狭いのではないかと感じています。
さて、今後はそれぞれの疾患別に、まずは既製品の話をして、それぞれの方にこのような加減を繰り返してその方に合う処方を作るという感じでお話していこうと思っています。
Takao Hosono, Tokyo

