不育症の漢方治療

妊娠はするけれども、流産等を繰り返し結果として妊娠を継続できない状態を不育症と言います。原因は明確な場合もありますが、半分以上の例で原因ははっきりと分かりません。原因が特定できている時には、その原因疾患の治療をすれば妊娠を継続することが可能です。繰り返し流産される方はまずは検査を受けてみて下さい。

原因不明の流産を繰り返す場合は漢方治療の適応です。治療内容は、その方の状態、体質に合わせて決定します。基本的には気、血、水の流れを整え、東洋医学で言う五臓(肝・心・脾・肺・腎)の機能を正常に保ち、全身のバランスを妊娠継続できる様に整えることが治療の目標となります。つまり子宮内環境の改善を目指す治療が不育症の漢方治療です。

また妊娠中にも継続して服用する必要があるために、あまり作用の強い処方は用いず比較的作用が優しく、それでいて子宮の無駄な収縮を抑え(子宮が動いてしまえば受精卵は着床しづらいし、またその様な環境下では胎児も安心できません)さらに子宮の血流を程よく保つ(血流の悪い場所では育ちが悪いですから)生薬を組み合わせて考えて行きます。

一般的に用いられる処方として、当帰芍薬散、芍薬甘草湯、漢方桂枝茯苓丸などがあります。但し、妊娠中に服用するものですから、必ず専門の経験ある医師に相談して下さい。私も基本的には上記処方を単独で用いたり、組み合わせたり、または上記処方をベースに生薬を加えてその方の状態に合った漢方処方を組み立てて行きます。

不育症や原因不明の流産を繰り返す場合、治療開始の時期は早ければ早い方が良いでしょう。妊娠が判明する前からの治療をお勧め致します。

東京診療所 細野孝郎 院長
筆者 細野孝郎 (Takao Hosono) 院長 (東京診療所)
昭和63年北里大学医学部卒 日本東洋医学会認定医・日本臨床抗老化医学会名誉認定医
川崎市立井田病院、藤枝市立志太病院、北里大学病院などを経て現在に至る。
北里大学病院では、膠原病・リウマチ・アレルギー外来を経て、漢方外来設立に尽力、担当。
1992年より当院でも診療を開始。
得意分野:内科系疾患全般、月経困難症や不妊などの婦人科疾患、皮膚疾患。また、体質改善や健康維持など、加齢にともなうエイジングケアの漢方にも力を入れている。
趣味:猫、ランニング、フルマラソン(東京マラソン4回、2013年シカゴ)、自転車など。

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