女性に多い体の不調と漢方治療

雑誌の記事からですが、女性1,000人を対象としたアンケートに次の質問がありました。

「あなたのカラダの不調は何ですか?」
「肩こり」262人 「冷え性」218人 「腰痛」188人 「便秘」172人 「生理痛」160人

このページをご覧の女性の皆さまが悩んでおられることと、共通するものも多いのではないでしょうか?
当院にも同じようなことを主訴に来院される20代〜40代の女性も多くいらっしゃいます。主訴としては、生理痛、不妊、冷え性などでも、実際に話を伺ってみると、殆どの方が肩こりで悩んでおられると言っても良いでしょう。
さて、これらの体の不調は、実は全て漢方で治療可能なのです。
もちろん、大腸にガンがあって「便秘」する・・・場合には、まず外科的な治療が必要でしょう。漢方で対応可能と言うのは、他に特に原因がなく、「肩こりがひどい・・・」「冬だけでなく、エアコンのせいで一年を通して冷え性がひどい・・・」「腰や背中がはって痛い・・・」「3日に一回程度しか通じが出ない」「生理中2〜3日は痛みが酷く憂鬱だ」などのことです。さらに悪いことにこれらの症状が、一つずつ単独で表れることは希です。生理痛のある肩は、冷え性や肩こりを伴う、生理前には便秘になる・・・など、複数の症状が出てくる場合が大半だと思います。

肩こり

肩こりのみで来院された場合には、鍼灸治療の適応となります。

針には中国針と日本針があるのですが、当院で用いる針は日本針になります。日本針は中国針と比較して細く短く、患者様の体への負担が少ないのが特徴です。1週間に1〜2回程度通って頂ければ、程度にもよるのですが、一ヶ月でかなり楽になるのではないかと思います。漢方薬では葛根湯類や柴胡剤系を使うのですが、他に何もなければ鍼灸治療だけで様子をみても良いでしょう。

しかしその前に、健康のため・・・と水分を多めに摂っておられるならば、それを減らしてみるのも良いでしょう。過剰な水分は肩こりの原因にもなりますし、次に説明する冷え性の原因にもなります。水はもともとが冷たいものですから、それが体に過剰に溜まっていると冷えるのは当然です。水を2リットル近く飲んで、「肩こりや冷えがひどい・・・・」とおっしゃって来られる方も多いのですが、水の量を減らした途端に肩こりや冷えが少し楽になってきた・・・と言うのはよくあることです。

冷え性

「冷え性」にお悩みの方は、「冷え」だけというより、生理痛や肩こりとセットになっている場合が多いです。

冷え性治療の基本は、「漢方薬」になります。基本的には体を暖める作用のある漢方を使うのですが、冷えを強く感じる部位により使うものが異なります。末端(手足)が主か、お腹や腰などの中心部が主か、それとも両方か・・・と言うことです。
生理痛などもある場合はまずは生理痛の治療をおこなえば、冷え性も同時に改善するでしょう。また、同時に鍼灸治療(特にお灸)も併用すると良いでしょう。「お灸は痕がつくからイヤ!」と言う方には痕のつかないお灸もありますのでご安心下さい。(治療前にお伺い致しますのでご安心ください)お灸は出来れば就寝前に、ご自宅でやって頂くとずっと効果があります。そのやり方等も併せてご説明致します。

腰痛

これには冷えて血の巡りが悪くて痛いのか、それとも重い物を持ったり、不自然な姿勢をとっていたり・・・などの理由で物理的要因により痛いのか、それとも骨格の問題など、いろいろな要因があると思います。冷えて血の巡りが悪い時には腰を温める漢方と鍼灸治療で楽になるでしょう。重い物を持ったりした場合の腰痛や骨格の問題の場合は漢方よりもむしろ鍼灸治療をメインにやります。いわゆるギックリ腰の場合には治療は早ければ早い方が良いので、「やってしまった!」と思われたらすぐに御受診下さい。

便秘

これも生理痛や冷え性とセットでお悩みの方が多いのではないでしょうか。
高齢の方の便秘は腸内分泌が低下して便がコロコロと硬くなり出にくい、または排便させる力(気の流れ)が悪くて出にくいなどがあります。
若い方の便秘の原因は少し違うのではないかと思います。若い方の場合は血の流れが悪くて(つまり生理痛や、冷え性が根本にある)、その結果、血の流れの悪さが気の流れを悪くしているためではないか、と想像できます。ここで言う、気と言うのは体のエネルギーのことで、このエネルギーが充分に腸に行き渡らないので、腸の動きが悪くなり便秘するのではないかということです。この気の流れの悪さが下腹部に留まらず、上に昇って行くと、腹部膨満感や胸騒ぎ、さらには咽のつまった感じ・・・などになっていきます。
もし便秘のみでお悩みでしたら簡単です。当院では便秘の方のために、生薬を錠剤に加工したものを作っています。年代に関係なく、当院では漢方で治療可能です。

生理痛

生理痛だけではなく生理不順も含めて、「月経異常」なのですが、これが最もやっかいではないでしょうか。やっかい・・・と言っても、良くならないと言う意味ではありません。女性の場合、万病の元になってしまうからです。
月経異常の本質は、漢方的に言うと「血の異常」になります。よく「気・血・水」と言いますが、この三者はお互いに影響しあって体の中を流れています。ですから「血の流れ」が悪くなると、気の流れや水の流れにも影響を及ぼすのです。
分かりやすい例をあげると「更年期障害」がまさしくそうです。閉経が近づくにつれ、血の流れが悪くなってきます。症状としては月経の間隔が不規則になったり、肩こり、冷え性などが年々進行して行きます。また同時に「血の質」も併せて悪くなって行くでしょう。
血の問題には血の流れと質の二つがあります。これは道路の問題と同じです。目的地に早くかつ快適に着きたいのですが、道が渋滞していてなかなか進まない(これが血の流れの悪い状態です)、または、道は空いているが車がボロボロで快適ではない、さらには遅くて遅くて時間がかかる(これが車の質=血の質です)。結局は道が空いていても、渋滞時と変わらない時間がかかってしまいます。
少し話がそれましたが、血の流れが悪くなると、それにつられて「気」の流れが悪くなると言うのは上に書きました。症状としてはイライラや抑鬱などの精神症状があります。さらにその気の流れの悪さが「水の流れ」にも影響を及ぼし、むくみや肩こりなどの原因にもなります。
さて、このように月経異常はいろいろな体の不調を呼び起こしますから、「万病の元」と言うのは大げさではないでしょう。治療は基本的には、まずは血の流れを良くしてあげます。クルマはボロでも道が空いていれば、少しは快適かつ早いだろうという考えからです。これがある程度改善されてきたならば、次は血の質を良くする生薬をそこに少しずつ加えて行くか、それとも血の質を良くする処方に代えてしまうかです。このあたりのタイミング、さじ加減はお任せ下さい。ここでももちろん、漢方に併せて、血の流れを良くする鍼灸治療を行うことも可能です。

このように、1000人の方の悩みは、漢方で改善可能なのです!中には、漢方よりも西洋医学的治療の方が適しているものもあります。
あるいは、何らかの基礎疾患が隠れていて、西洋医学的治療が必要だという場合もございます。それらのことも含めて、一度ご相談に来て頂ければと思います

東京診療所 細野孝郎 院長
筆者 細野孝郎 (Takao Hosono) 院長 (東京診療所)
昭和63年北里大学医学部卒 日本東洋医学会認定医・日本臨床抗老化医学会名誉認定医
川崎市立井田病院、藤枝市立志太病院、北里大学病院などを経て現在に至る。
北里大学病院では、膠原病・リウマチ・アレルギー外来を経て、漢方外来設立に尽力、担当。
1992年より当院でも診療を開始。
得意分野:内科系疾患全般、月経困難症や不妊などの婦人科疾患、皮膚疾患。また、体質改善や健康維持など、加齢にともなうエイジングケアの漢方にも力を入れている。
趣味:猫、ランニング、フルマラソン(東京マラソン4回、2013年シカゴ)、自転車など。

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