診療日誌

6月12日(火)

アトピー性皮膚炎関連の話しが続きます。

アトピー性皮膚炎の治療経過として炎症が治まってき次の段階で皮膚が乾燥してしまう、そしてまた炎症が出て・・・・を繰り返すことがあります。皮膚が乾燥してきた時には、四物湯(しもつとう)という皮膚の血流を改善して潤いも持たす処方を使うのが一般的です。よく使われているのが温清飲(うんせいいん)ではないでしょうか。当院に通っているアトピーの患者さんは耳にタコができるほど聞いているかと思うのですが、温清飲とは、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)と四物湯の合わせた処方です。そこで黄連解毒湯には、皮膚の皮脂腺の分泌を抑制する作用があることを考えなければなりません。

つまり黄連解毒湯類(温清飲など)を長期に使用していると逆に皮膚の乾燥が促進され、結果として皮膚のバリアー機能が低下しまた炎症を悪化させる結果になることがあります。また四物湯は皮膚の血流を良くしてしまうために逆に皮膚の赤味を増してしまうこともあります。

そこで過去の東洋医学会の文献や学会発表を調べた結果辿り着いたのがこの処方です。

加減一陰煎加亀板膠(かげんいちいんせんかきばんきょう)

何とも難しい名前の処方です。あまり使われず、当院でも大昔に製造中止になっていた処方です。詳しい内容は疾患別のコーナーに記事として後日に書くつもりですが、角質の水分保持の作用があり、しかも皮膚の血流を過度に良くしないので、乾燥して赤い状態の人には最適な処方かと思っています。

煎じ薬としては存在するので使っている所もあると思うのですが、煎じでは服用に不便なので、さっそくエキス剤で作ってみました。自分でも試してみましたが苦みやえぐみが少なくサラッと飲みやすい味でした。この処方を正しく使えればさらに進んだアトピー治療が可能になると期待しています。

Takao Hosono, Tokyo

東京診療所 細野孝郎 院長
筆者 細野孝郎 院長
医療法人 聖光園 細野診療所 東京診療所 責任者

昭和63年北里大学医学部卒 日本東洋医学会認定医・日本臨床抗老化医学会名誉認定医

川崎市立井田病院、藤枝市立志太病院、北里大学病院などを経て現在に至る。
北里大学病院では、膠原病・リウマチ・アレルギー外来を経て、漢方外来設立に尽力、担当。
1992年より当院でも診療を開始。
得意分野:内科系疾患全般、月経困難症や不妊などの婦人科疾患、皮膚疾患。また、体質改善や健康維持など、加齢にともなうエイジングケアの漢方にも力を入れている。
趣味:猫、ランニング、フルマラソン(東京マラソン4回、2013年シカゴ)、自転車など。

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